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お口の体操♪1、2、1、2、♪
〜 口腔機能訓練実施への取り組み〜
サンヒルきよたけ
◎介護福祉士 斉藤 久子
  看護師    長友 香織
看護師 鬼束 幸生
施設長 柴田 紘一郎
【はじめに】
 当施設は入所80床、通所リハビリテーション(以後通所リハと略する)40名の介護老人保健施設である。通所リハにおいては理学療法士によるリハビリだけではなく、構音障害への取り組みや口腔機能の向上に対する利用者のニーズも増加してきている。しかし、当施設には言語聴覚士(以後STとする)が不在であり、そのようなニーズに充分な対応ができていなかったり、通所リハスタッフによる取り組みも困難であったりという現状があった。
 今回、構音障害・口腔機能の低下(流涎)が著明に見られるようになったケースについて、協力病院のSTに口腔機能の評価と口腔体操の指導を依頼し、STのアドバイスのもとご家族と通所リハスタッフにて口腔体操を継続的に実施した。口腔体操取り組みと実施前後の経過をここに報告する。

【対象者、事例紹介】
・名  前:
N氏  男性  要介護度3
・既往歴: 脳出血後遺症(右片麻痺、構音障害あり)、右片麻痺による活動性の低下や危険行為に対する認知力の低下あり。
  N氏は当施設を平成16年2月より利用されており週3日のデイケア利用、又 SS も併用しながら主介護者である奥様と在宅生活を送っている。
  1年前までは、2週間に 1 度の訪問リハ時に口腔体操実施にて流涎も殆んど見られなかったが、都合によりSTの介入が中止となった現在、通所リハ利用中の流涎が著明に見られるようになった。奥様に自宅での状況を確認するとやはりスタッフ同様に流涎の増加を感じておられたようであった。そのため口腔機能の評価をSTに依頼した。STの評価によると、全く流涎がなくなるということは難しいかもしれないが、継続的な訓練が必要との判断に至った。そのため、ご家族・通所リハスタッフによる口腔機能向上訓練に有効な練習方法のアドバイスをSTに求めた。

【実施内容】
<実施期間>
H21.4.20から3ヶ月間
<訓練時間>
通所リハ利用時(月・水・金)の昼食前20分、帰りの送迎前10分
利用日以外は自宅で午前、午後の空き時間
<訓練内容>
1. 唇を前に突き出す〜横に引く運動
2. 頬を膨らましへこませる運動
3. 指を使った運動@
4. 指を使った運動A
5. 舌を上に上げる運動

【家族・スタッフによるチェック項目】
1. 流涎について

昼食前、(11時40分)送迎前(15時30分)に口腔機能訓練を施行し、体操前、後の流涎の変化をチェックする。
デイケア利用時は6回に分けて2時間置きに流涎の多さをチェックする。
家族に実施していただく項目として@口腔体操の回数A本人の意欲度B体操前後の流涎の改善度を挙げている。
2. 発語について
口腔機能訓練後の発語の状態確認、本人からの訴えを傾聴する。
家族にも体操前後の発語改善度をチェックしていただく。
3. 食事摂取状態について
昼食前の11時40分に訓練を行う事で、もともと摂取量が少なく、むせ込みのある N 氏にどのような変化があったかチェックを行う。

【経 過】
  口腔体操を始める前にSTに評価をしてもらうため、ご本人に会ってもらった時の事であったが、 N 氏は初めて会う人にそれも口の状態を見せるという事に強い拒否反応を示された。その理由として、まず聴覚的理解力 ( 複雑な内容の理解力 ) の低下があるということをご本人もわかっているため、ご家族 ( 妻 ) をとても頼りにされているところがあった。「家内はこの事を知っているのか?」と言われ、どの利用者に関してもまず本人とご家族を交えて、現在の状況や今後の取り組みについて話し合い、共通認識を持ったうえで目標設定や訓練内容を確認していくことは当然の事だと痛感した。
  それを踏まえ、まずはご自宅を訪問し、本人・ご家族・スタッフの3人で話す事から始めた。それからは思った以上にスムーズに話は進み、2回目は口腔体操の内容を説明と実際にご家族にもやっていただき、3回目にはこの研究での発表も了承していただいた。
  やっとスタートしたものの、まずはどう観察・表現していくかで悩んだ。口腔体操を実施・評価していくうえで、どれだけの効果があったのかという表現が数字で表せるものではなく評価しにくいことが挙げられ、また評価するスタッフの客観的な評価がもとになるため、スタッフが利用度に変わってしまうと評価自体が違ってくることが考えられた。
  そこで、STのアドバイスも得ながら当通所独自のチェック表を作成し実施していった。また、口腔体操を実施する上でご本人の性格を考慮し、実施していくなかでの変化をみるために担当スタッフを決め、実施前後にはリラクゼーション ( 首〜肩にかけてゆっくりと触れる ) を取り入れ施行していった。途中 ST のアドバイスのもと、鏡を使用して本人自らやっていただく自主訓練もした。実施していくうえで拒否は全くなく、勤勉な性格の方なので懸命に取り組まれた。(現在進行中のため、後日追加報告を行うこととする。)

【今後に向けて】
  以前から口腔リハビリの重要性を感じながらも、通所スタッフによる取り組みが困難な状況があった。今回の事例を通して、 ST 不在のなかでもアドバイスを受けながら通所スタッフで実施していくことで多くのことを学ぶ事ができた。こういったニーズが増えてきているため、今後は通所活動のなかのひとつとして、個別的・小グループでの取り組みを提供していくことが必要だと考える。
 
   平成21年3月 宮崎県大会 ▲TOP

平成20年度アンケート調査の結果について
〜「宮崎県老人保健施設協会 実態把握」の報告〜

 

( 社 ) 宮崎県老人保健施設協会
   M砂 泰典・迫田 耕一朗・浜津 純三 ( 協会事務局長 )  

【はじめに】

・現場で必要とする人員配置は法に定めるそれよりはるかに大きく、自ずと人件費率は高くなり、利益率の減少をきたしているところです。しかし、利用者にサ−ビス提供を行うためには、必要な配置であります。
・そこで、介護老人保健施設が安定した経営の中で、利用者と職員の信頼関係を築き、安心・安全を確保しながら、利用者の施設生活及び職員のケアが夢を追い満足できる、そういう職場にしていきたいと思います。
・健全な経営体質の確保をめざし、法による定めを実態に即したものに改めることが必要と考えており、実態を把握する為に今回のアンケートを実施しました。


【対象と方法】

・平成19年度までに開設した宮崎県内の介護老人保健施設42施設にアンケート調査を行った。


【アンケート内容】

@サービス種別・状況 A併設事業所種別 B人件費率 C税引き前の利益率
D人員配置 E食費 F在宅復帰率 G看取りについて Hその他


【結 果】

1 ) 利用率
@入所:平均94.3%  (範囲:90.9%〜99.7%)
A通所:平均61.0%  (範囲:25.0%〜88.7%)

2 ) 人件費 4 ) 税引き前利益

4 ) 人員配置

 
@入所・短期入所
A通所 
職   種

法定数に対しての
配置割合

医師 106.1%
看護職員 125.5%
介護職員 129.0%
理学療法士等 210.9%
支援相談員 130.4%
介護支援専門員 160.0%
(管理)栄養士 104.5%
職   種

法定数に対しての
配置割合

看護介護職員 213.8%
理学療法士等 256.4%
   ※上記以外の職員 ( 支援相談員・介護支援専門員・
     調理員・事務職員・送迎対応職員・その他 ) の
     平均配置数 平均10.8人
   ※上記以外の職員 ( 調理員・事務職員・その他 )
    の平均配置数 平均11.9名
 

※この抄録は3月4日までに回答を頂いたデータを元に掲載しています。

いい湯だな  あははん
〜 ケースシートを活用し、入浴を好まれない利用者により良いケアを提供するツールを作る 〜

 

介護老人保健施設 サンヒルきよたけ

施設長 柴田 紘一郎
発表者 結城 頼彦  (介護職)
 

川崎 亜紀子(介護職)

【はじめに】

・当施設は、平成7年に開設された入所定員80名の介護老人保健施設である。
・職員全員が認知症について正しい理解と共通認識を持ち、接遇を意識して対応していく必要があると感じた。
・当施設では利用者に週2回の入浴を提供しているが、入りたがらない利用者が約7名おられる。入浴されない期間が長く続くと、無理やりにでも入浴して頂いている現状であり、利用者に気持ち良く入浴して頂くためにはどのような対応をすれば良いのか、全職員で考える必要があると感じた。


【目  的】

・対応をケースシートに記録することで、利用者個人に適した入浴ケアを模索し、共通ツールとして今後活用していく。


【対  象】

・入所職員 計31名
・入浴を好まれず、拒否されることの多い利用者7名


【課題実施の流れ】

@勉強会の実施
  ・認知症とは
  ・接遇とは
  ・課題の説明及び協力依頼
A課題実施
  ・ケースシートに対象利用者の入浴場面を記録する
B課題実施後のアンケート


【結  果】

@勉強会を実施することで、職員の認知症に対しての意識が変わった。
A勉強会の内容に「接遇」を取り入れることで、職員が自己の振り返りを行うことができた。
B対象への声かけや対応を職員がお互いに協力しながら工夫することができた。
C2週間の課題実施期間、対象7名全員が入浴を拒否されることなく経過した。
D対象に対してだけではなく、全利用者に対する職員の応対に変化が表れた。
E勉強会で学んだことを利用者に実践すると、利用者に良い変化があるという結果が得られた。


【考  察】 ・・・評価及び今後の課題

・利用者主体の視点、接遇を意識して対応することが、利用者に良いケアを提供することにつながると考える。
・職員一人一人が、状況に応じて臨機応変な対応が出来るよう、スキルアップを図る必要があると考える。


【ま と め】

・今回、認知症と接遇についての勉強会を行い、2週間にわたり課題に取り組んだことで、人と接する時の優しさや、その人その人に合った接し方を考えるということがいかに大切であるか、職員全体に浸透したのではないかと考える。
・このツールを職員で共有し今後活用すること、職員の意識確認を定期的に行うことが、結果として良い認知症ケアにつながると考える。

 
   平成20年8月 全国大会(京都) ▲TOP
当施設での新たな取り組み
〜看取りケアへの第一歩〜
発表者:

○川崎 亜紀子(介護福祉士)
  富山 圭子(介護福祉士)
  星崎 洋子(看護士)
  隈本 裕美(支援相談員)
  柴田 紘一郎(医師)

【はじめに】
 介護老人保健施設とは、病院と在宅との中間施設として位置づけられ、可能な限り居宅における生活への復帰を目指す施設である。しかし、近年、入所の長期化や利用者の重度化が進むにつれ、施設での看取り希望が増えてきている。当施設も例外ではなく、今後さらに看取りの機会が増大することは容易に想像ができる。しかし、職員の中には施設での看取りを行うことに対し、不安を抱く者も多いのが事実である。慣れ親しんだ施設での最期を望む利用者・ご家族のニーズに応えるためにも、看取りについての意識統一を図る必要性があると感じる。
 今回、当施設での事例を紹介し、看取りに対する取り組みと今後の課題について報告する。

【事例紹介】
M氏  99歳  要介護度3  
疾病:気管支喘息 狭心症、認知症、慢性心不全
主介護者:三女
 平成13年から当施設のデイケア、ショートステイを利用しながら在宅生活を送っておられた。
 平成18年、主介護者である娘さんが膝の手術を受けるため当施設入所となる。娘さんご自身は、膝が完治すれば在宅復帰を目指したいとの意向であった。しかし、術後の経過が思わしくなく、主治医からM氏を在宅で介護するのは困難と言われ、M氏は入所継続となる。
 今年2月、肺炎を起こし一時入院となり、再入所されるが、徐々に食欲が低下し、日中もまどろんだような状態が続くようになった。主介護者である娘さんは毎日面会に来られ、夕食の介助をするのが日課であった。職員との関係も良好で、お互いにM氏に関する情報を共有し、特に食事については娘さんと相談しながら食形態を検討したり、M氏の好物である果物を持参されたり等、施設生活であっても娘さんは在宅と同じように積極的なケアを行っておられた。
 しかし、次第に食事を受け付けなくなり、医師が現状と胃ろう造設の説明をするが、娘さんはあくまで口からの摂取を希望され、延命治療はしないでほしいこと、もしもの時は、病院ではなく施設で最期を迎えさせてあげたいというお気持ちであった。
 ご家族の意向を受けて、申し送り等で職員間にM氏の看取りに関する意識統一を図った。しかし、職員の中には施設での看取り経験がない者も多く、具体的にどのようなケアを行えば良いのか不安を抱くこともあった。また、当施設の構造上の理由で、ステーションの近くに個室を設けることが難しく、最期を迎える日までM氏は4人部屋で生活することとなった。
 平成20年4月12日から経口摂取困難となり、終日ベッド上で寝たきりとなる。医師から娘さんへ死期が近いとの説明があり、娘さん以外のご家族も面会に来られることが多くなった。
 4月17日深夜、容態急変し、施設に宿泊されていたご家族と職員に看取られ、M氏は静かに息を引き取られた。娘さんは激しく動揺されたが、医師や職員に対しては「ありがとう」と感謝の意を示された。

【整備すべき問題点と取り組み】
  1. 看取り委員会の設置
    →医師、看護師、介護福祉士、支援相談員等の計10名で委員会を設置した
  2. 看取りに関する指針」「同意書」をはじめとする書類の整備
    →委員会メンバーを中心に作成予定
  3. 職員の「看取り」に対する意識調査
    →アンケート実施予定
  4. 看取りに関するマニュアルの作成
    →アンケートをもとに、委員会メンバーで作成予定
  5. 職員に対する教育及び研修、勉強会の実施
    →死生観、法律、機器の操作、緊急時の対応、死後の処置等の勉強会実施予定
  6. ハード面の整備
    →検討中
【考察】
 当施設では、過去にも利用者を看取ってきた経緯があるが、利用者・ご家族が施設での看取りを強く希望されたというよりは、身寄りがない等の消極的な理由によるものが多かった。
 しかし、今回事例に挙げたM氏のように、慣れ親しんだ施設で最期を迎えさせてあげたいというご家族の強い気持ちに私たち職員が共感し、一丸となってM氏のケアに取り組んだことは看取りに対する意識をさらに高め、新たな取り組みをはじめる第一歩となった。
 そして、ご家族の想い、看取りに関わる職員の気持ちを知り、不安や迷いを受け止め一つひとつ解決していくことで、個々が死生観について考えるきっかけにもなり、そのことが、介護の質の向上にもつながると感じた。
 しかし、「看取り」には正しい答えが存在するはずもなく、まさに手探りで取り組んでいくべき大きな課題である。
 療養型介護老人保健施設の誕生も目前に迫っており、そこでの看取りに関する指針も新たに提示されるであろうが、死に行く場所がどこであれ、私たちはその人がその人らしく穏やかに死を迎えるためにその舞台を支える一端を担う存在であり得ることを念頭に置き、尊厳ある看取りとは何かということを学び続けなければならない。
 当施設では、今回の取り組みを看取りケアへの第一歩とし、残された整備すべき課題を解決していくことで、看取りに対する理解をより深めていきたいと考える。
 
平成20年3月 宮崎県大会
平成20年5月 九州大会(鹿児島)
▲TOP
認知症(アルツハイマー型)における作業療法
〜役割を持つことにより、周辺症状が改善した一症例〜
発表者: ○右田 裕子(作業療法士)
  水田 愛  (理学療法士)
  山下 泰代(理学療法士)
  柴田 紘一郎(医師)
【はじめに】
 アルツハイマー型認知症の入所者が、グループワークの中で役割を持つことで、周辺症状が改善した事例を報告する
【症例紹介】
 91歳女性。アルツハイマー型認知症。要介護2。入所前は、通所介護等を利用されながら、独居(同敷地内は孫家族あり)。入院され、退院後、息子宅で生活をされたが、環境の変化もあり、息子の不在時に息子を探して屋外徘徊が頻回となる。家族の精神的負担増加により、長期入所希望され、当施設入所となる。
【初期評価】
 身体機能的には特に問題ないが、認知症の為、入浴は軽介助。排泄に関して失敗あり。日中の活動性は低い。HDS−R14点
【経過】
  • 10月:入所。作業療法(グループワーク)開始
    (帰宅願望8回、電話要求6回、離設未遂1回)
    他入所者の作業見学後、作業開始。同日、再度来室あり。
    →責任感が強く、作業に関して意欲がある。有能感、達成感獲得を目指し、終了後の声掛け強化していった。
  • 11月:依頼により、他入所者を誘い来室されるようになる。
    (帰宅願望13回、電話要求5回、離設未遂4回)
    →仲間意識が定着してきていると考え、社会性や、社交的な性格が発揮できるよう、毎回、他入所者への声掛けを依頼する。
  • 12月:持久力・耐久性の向上、自発的関わりが増加。(帰宅願望1回、洗濯物たたみ開始。)
    →持久力・耐久性維持、仕事の場として作業提供を継続。
    作業=仕事という意識が定着している。
  • 1月:毎日来室し、自ら他入所者を誘う。
    (帰宅願望1回)
    →馴染みの仲間を獲得。作業(仕事)が生活の一部になる。この頃より、家族の面会回数が週2、3回へ増加 (HDS‐R 12点、MMSE 15点)
【考察】
 アルツハイマー型認知症の初期には、比較的馴染みの関係をつくりやすく、一緒にいることで情緒的にも安定しやすいといわれていることから、グループワークへの参加を実施していった。
 グループワークでは他入所者と接し、参加者同士に信頼感と所属感が生まれ、安心できる雰囲気の中で、能力発揮することが出来たのではないかと考える。また、自発的に参加できるような場の設定が、意欲を引き出し、自分を認めるという、自己実現を促す場となったのではないだろうか。
 その中で、経験を生かせる作業を達成することにより、満足感や有能感、達成感を得ることが出来たと考える。
 周辺症状が改善し、施設内での生活が安定したことにより、試験外泊などを繰り返し、家庭環境に適応することができれば、在宅復帰の可能性も考えられるようになった。現在の施設生活を見られ、家族の意向、対応の変化も見られている。
 今後は、ご本人にとって一番良い環境での生活を過ごしていただけるように"役割の重要性"を意識しながら、他職種と協力して、生活全般を支援していきたい。
 
平成19年10月 全国大会(愛 知) ▲TOP
「いい湯だな」をめざして 〜他施設見学をもとに〜
発表者: ○介護職 結城 頼彦
 施設長 柴田 紘一郎・介護部長 星崎 洋子
 富山 圭子・竹ノ内 健昭・中島 幸子
【はじめに】
  • 当施設は、開設12年目を迎えた。現在、開設当時より利用者の要介護度が上がってきている。
  • そのため、施設内の生活環境がそぐわない状況になっている。
  • 特に、浴室が大きな問題となっていた。
  • そこで他施設見学を行い浴室改修について検討した。
  • それらの結果と利用者の声をもとに、浴室改修に取り組んだ経過を報告する。
【改修前の浴室の状況】
  • 当施設の一般浴は、以下の理由で入浴時に問題があった。
  • 問題点
    @必要な場所に手すりがなかった
    A必要でない場所に手すりがあり、浴室内を有効に活用できていなかった
    B老朽化により、いろいろな箇所に不具合が出てきている
【経 過】
  • 06年05月 浴室改善について検討
  • 06年06月 一般浴を使用する利用者にアンケートを実施
  • 06年8・9月 全スタッフにて、施設見学を実施
  • 06年10月 施設見学の調査報告書作成
  • 06年11月 3つの改善案(手すり増設、浴室改修、浴室増設)をスタッフに提示しアンケートを実施
  • 06年12月 アンケート結果を集計
  • 07年01月初 プラン内容及び発生費用について検討
  • 07年01月末 手すり増設プランに決定
    (内容・費用ともに適切)
  • 07年2・3月 業者との話し合い(手すり増設場所・工事日程の打ち合わせ)
  • 07年04月 工事実施
  • 07年05月 改修後から1ヶ月間、利用者・スタッフにアンケート実施
【結 果】
  • 手すりを増設したことにより、今まで浴槽に入らなかった利用者も入るようになった。
  • 座位保持可能な利用者が、今までより安全に入浴できるようになった。
  • スタッフも安心して介助が行えるようになり、また介護負担を軽減することができた。
【考 察】
  • 手すりを増設したことにより、以前より安全性が確保されたが、スタッフの利用者に対する注意力が低下することも考えられる。
  • 増設した手すりの配置等に問題は無かったか、また、今以上に利用者に安心して入浴して頂く為には何が必要なのか、などを検討していかなければならない。
【終わりに】
  • 今まで不安を感じながら入浴されていた利用者が、少しでも安心して頂けるようになったのではないかと感じている。
  • 今後さらに、入浴改善を進め、利用者に入浴を楽しんで頂けるようにしていきたい。
  • 今後も、業務を遂行する中で、職員一人ひとりが日々問題意識を持ち、業務改善や施設内環境の改善に積極的に取り組んで行きたい。
施設ホームページを立ち上げて  〜 スタッフの立場から 〜
宮崎県  サンヒルきよたけ
ホームページ委員会
発表者: ○管理栄養士 河野 仁江
  施設長 柴田 紘一郎
  甲斐・松田・星崎・山下・K木
【はじめに】
  • 当施設では昨年7月にホームページを開設し、その後、改良を加えつつ、現在に至っている。
  • そこで、アンケートを通じてホームページを評価し、今後の課題をまとめた。
【目 的】・・・ホームページ設置目的
  • 情報公開の一環として、施設概要、施設サービス及び施設活動について情報発信する。
  • 職員の就業意欲を喚起する。
【経 過】
  • 06年05月   設置決定
  • 06年07月初 Web公開(暫定版)
  • 06年08月末 Ver.1宣言(当初計画分完成)
  • 06年12月   併設グループホームWeb公開
  • 07年04月   委員会発足
  • 07年05月   アンケート実施
【アンケートの実施】
  • 利用者のご家族並びに関係者、職員へアンケートを実施した。
【アンケートの結果】
 <プラス評価>
  • 見やすく出来ている。
  • 比較的、更新がされており、鮮度が保たれている。
  • 施設外にアピール(情報発信)出来ている。
 <マイナス評価>
  • 認知度が低い。
  • 徐々に拡充させて来ているが、未着手の部分等、一部に情報の偏りがある。
【考 察】・・・評価及び今後の課題
  • 認知度や完成度の低さは、ある程度予想されたため、今後の改良作業準備として、5月のアンケート実施に先立ち、4月にホームページ担当を個人からチームに移行していた。
  • コンピュータに触れる機会がないと回答されたご家族が大勢おられた。施設の玄関ホールにパソコンを設置し、来訪時にご覧頂けるよう、準備する。
  • ホームページの設置目的に順じた、具体的なプランを策定し、適宜改良を加える。
  • ホームページを施設資源と捉え、更なる活用を目指す。
  • そのためにも、定期的な情報収集(アンケートやヒアリング)を通して、客観的な評価を行ない、広く意見を取り入れて行くこととする。
  • 職員に、自分たちの家族へもホームページを紹介してもらえるよう、職員の関係する行事や活動報告も充実させたい。
【おわりに】
  • 自分たち担当者の自己満足にならないよう、読み手の気持ちになって、ホームページの維持管理に務めて行きたい。
 
平成19年6月 九州大会(大 分) ▲TOP
支援相談員になって 〜新米相談員の奮闘記〜
発表者: ○秀 雅夫    黒木 勝久 
  隈本 裕美  柴田 紘一郎
【はじめに】
 平成15年1月より当施設の通所リハビリテーション(以下、通所リハ)介護職として入職した。18年10月までの3年10ヶ月間、通所リハで勤務したが、11月より支援相談員(以下、相談員)となった。通所リハ担当として利用者やその家族に日々接しているが、その中で以前は気付かなかった点やそれに対する取り組みについて以下の3点、
1.基本情報について
2.部署間の連携について
3 在宅生活とリハビリとの関連性について
を、報告する。
【内 容】
  1.  通所リハ職員の時には、新規の希望があった際に相談員が持ってくる、介護支援専門員からの情報の既往歴、服薬などは慎重に確認していたが、性格、生活歴などは参考情報として捉えているだけであった。
     しかし、施設の窓口である相談員としてはとても大事な情報であり、慎重に捉えなければいけないことである。
     そのため、慎重に捉えるようにしているが、過剰になりすぎて、相手を構えさせてしまっている部分もあるのではないだろうか。
  2.  通所リハ職員の時には、通所リハ利用で起きる様々な問題を、通所リハ職員だけで解決しても特に疑問に感じなかった。現在は相談員として、内容に関わらず利用者に関する情報の大切さを実感している。また、それに伴う部署間の連携、情報の共有も大切である。
  3.  通所リハ職員の時には、通所リハの特性等を考慮して、理学療法士の行うリハビリ以外の生活リハビリとして、利用者自身でできることはして頂き、できる部分の範囲を広げ、生活機能の向上、それに伴う家族の負担軽減を目指すことの援助をしていた。しかし、在宅での生活が中心であるため、在宅へつながるリハビリを提供することが重要である。その点をあまり認識していなかった。
【取り組み】
  1.  できる限り利用者個々との対話やコミュニケーションを図ることで、利用者との距離を縮めることができる様にしている。また送迎にも参加し、家族との情報交換も行っている。
  2.  通所リハの朝礼・終礼に参加し、情報の伝達、日々の状況の確認等を相互に行っている。
  3.  在宅での利用者や家族の問題点を確認し、場合によっては理学療法士と訪問して、在宅での生活状況や動作の確認を行い、通所リハ職員とプログラムを作成している。それにより在宅生活に活かせるリハビリの提供、また在宅と通所リハでの介助動作の統一などをサポートしている。
【おわりに】
 まだまだ新米相談員ですが、利用者や家族に対しては相談員業務はもちろん、何でも話せる施設の職員として、通所リハ職員にとっては通所リハ経験を活かし、痒いところに手が届く相談員となれる様、努力していきます。
 
平成19年3月 宮崎県大会 ▲TOP
当施設における物理療法 〜ホットパックから電気治療器への移行〜
・リハビリテーション部: 理学療法士 佐藤 誠司
水田 愛・右田 裕子・中武 紋子
【はじめに】
  • 理学療法には、運動療法と物理療法の2大治療技術がある。
  • 当施設で行っている物理療法の取り組みについてその経過を述べる。
【経 過】
  • これまでは、主にホットパックを用いてきたが、次のような問題点があった。
     ・同時に複数の利用が困難な為、利用者を待たせてしまう。
     ・利用者によって使用時間がまちまち。
     ・準備や後片付けに時間がかかる。
     ・ハイドロコレーターやホットパックの老朽化によるメンテナンスが頻発。
  • そこで問題解決に向け、以下の検討をした。
     @処分したタイプのホットパック導入。
     Aマイクロウェーブ・ウォーターベッドへの転換。
     B電気治療器の導入。
  • @とAは実情に合わず、Bを採用することとし、従来のホットパックを廃棄処分した。
  • しかし、新たな問題点が発生した。
     ・入所者のリハビリ参加拒否。
     ・通所リハ利用者の利用中止。
     ・徒手的療法での対応が増大。
  • そこで、センサフレックスを追加した。
    ※センサフレックス:ホットパックと同じ温熱療法として用いられているもの。寒冷療法としても可能。
【比 較】
  • 各月の平均利用者数(人)
      H17/12 H18/9 H19/1
    ホットパック 18 0 0
    マイクロウェーブ 3 2 2
    ウォーターベッド 2 3 3
    電気治療器 0 21 24
    センサフレックス 0 0 4
    合計(人) 23 26 33
  • 通所の、リハ加算対象者数(人)
      H17/12 H18/9 H19/1
    合計(人) 151 206 238
【結 果】
  • ホットパックから電気治療器に移行することで、問題点が解決できた。
  • 電気治療器はペースメーカーや心疾患の利用者に対する使用が禁忌である。対応としてセンサフレックスを使用した。
  • 物理療法の利用者数の増加。
  • 通所の、リハ加算対象者数の増加。
【考 察】
  • 現時点においては、物理療法の手段として電気治療器を中心とし、センサフレックスを追加した事で円滑な個別訓練が行えていると思われる。今後も物理療法を更に充実させ、運動療法と組み合わせる事で、効果的な個別訓練とし、加算の対象者を増やしたい所存です。
在宅復帰への取り組み
・管理部:支援相談員 K木 勝久
【はじめに】
  • 当施設の過去1年間の在宅復帰率は6.8%と宮崎県の平均20%代を大きく下回っている。同時に平均入所期間は1年7ヶ月と長期化している。
  • 当施設では在宅復帰施設として機能していくために、私たち職員の意識を変えていくことに着目した。
  • 今回、私たちは在宅パスを活用した在宅復帰に取り組んでいる。経過報告であるが、その活動を報告する。
【期間・対象】
  • 入所期間を平成18年10月〜平成18年12月、平成19年1月〜平成19年3月の約3ヶ月間と予定した在宅復帰希望者2名。
【ケース紹介】
  • Aさん
    ・90代・女性(平成18年10月入所)
    ・デイケア・ショートステイを利用しながら在宅生活を送っていたが、下肢筋力の低下に伴い起居動作の介護量が増えたため、リハビリ目的で入所される。
    ・長女と二人で暮している。Aさんの入所中に長女は膝の手術を受ける。
  • Bさん
    ・80代・女性(平成19年1月入所)
    ・同敷地内に兄夫婦と生活している。退院後の在宅生活に不安があり、当施設でリハビリをしてから自宅に帰りたい、と入所される。
【方 法】
  • Aさん:長女の予後不良が深刻で、主治医から在宅介護の許可が出ない。
  • Bさん:入所から1ヶ月が経過、リハビリも順調でBさんの在宅復帰への意識は高まっている。すぐにでも帰りたいという希望を元に、退所時期の変更を家族に進言したが、在宅パスに設定された退所時期を盾に、退けられた。
【結 果】
  • Aさん:現在、長女もリハビリ中。ただ在宅復帰の意思に変化はない。
  • Bさん:予定通り、在宅パスに沿って入所中。繰り返しになるが経過は順調である。
【考 察】
  • ツールは万能ではなく、最後はやはりケースワークだった。ただ、在宅パスがあることで、私たちの意識付けができたことが収穫だった。制度改正後、退所時期が迫ってくる入所者の処遇にも活かしていきたい。
 
平成18年 全国大会(熊 本) ▲TOP
デンマーク交流を通して  〜 栄養スタッフの立場から 〜
・栄養管理部: 長嶺 智香
・介  護  部: 川名 峰幸・川崎 亜紀子・中武 ますみ
【はじめに】
  • 当施設ではデンマークより研修生を受け入れることにより、国際交流を行なっている。
  • 福祉先進国といわれるデンマーク研修生を迎え入れ、私たちが感じたことをここに報告する。
【目 的】
  • 福祉先進国の思想・ケアを学び、職員の資質向上を図る。
  • 文化交流を図る。
【経 過】
  • 01年01月 交流生来設
  • 02年02月 交流生来設
  • 02年11月 研修生派遣準備のためデンマークより学校長来設
  • 02年11月 交流生来設
  • 03年04月 交流生来設
  • 03年11月 第1期研修生来設
  • 04年12月 中間評価のためデンマーク専門学校長来設
  • 04年06月 介護職員2名、支援相談員1名デンマークへ視察
  • 04年08月 第2期研修生来設
  • 06年02月 第3期研修生来設
    ※交流生とは、プライベートで勉強を目的に来設している学生他
    ※研修生は、社会保険介護士の資格取得の実習(単位取得)として来設している学生
【第3期研修生】
  • 女性3名  平成18年02月〜04月来設
【研修内容】
  • 施設内各部署実習
  • グループホーム実習
  • 他福祉施設、公共施設、名所旧跡 見学
【考 察】
  • 研修生の中に「なぜスタッフの都合に合わせて食事をさせるのか?」「なぜ皆が揃わないと食べてはいけないのか?」という疑問が湧いていた。その言葉を受け、こちらも施設給食について改めて考えさせられることとなった。
  • だが、施設内に厨房があり、温かい食事が提供されることには感心していた。デンマークでは大きな施設以外、厨房の設置は無く、配食センターから運ばれてくるのが一般的、という話である。
  • また、日本の介護は一人ひとりの利用者と身近に接している印象を受け、利用者の表情も明るく見える、と話していた。設備が整っているデンマークの施設は、介護する側にとっては楽だが、介助が機械的であるため、介護される側は人間の温かみを感じにくい、という不具合が生じているようだ。
【おわりに】
  • 他国の知識・文化を学べるこの研修に、受入れ担当者として関わり、貴重な経験をさせてもらった。お互いの国の良い点、悪い点を知り、利用者が望んでいる施設とはどういったものなのか、改めて考えるよい機会となった。
  • また、自分が成長できた部分もある。言葉の壁を感じつつも、研修生との接触は多く、会話しなければならない状況が多々あった。次第に、簡単な単語でも会話はある程度成り立つことがわかり始め、この苦手意識は薄れていった。自信が無くてもやってみる、という姿勢が大切だと感じた。
 
平成17年 全国大会(神奈川) ▲TOP
19DKr
・介  護  部: 山口 智子・竹ノ内 健昭・川名 峰幸
  福島 仁美・川崎 亜紀子
【はじめに】
  • 当施設では、デンマークより研修生(社会保健福祉士養成校生)を受け入れている。
  • 03年11月〜04年1月と04年8月〜10月の2回、研修生計4名が来日し、研修項目に添って研修を行った。その中で私たちが感じたことや影響を受けたことを報告する。
【目 的】
  • 法人5ヵ年計画の一つでもある国際交流(研修生受け入れ)を通して、デンマークとの文化交流を行い、職員の資質の向上を図ることを目的とする。
【経 過】
  1. 第1期研修生来日  [期間:03年11月〜04年1月・人数:女性2名]
    (1) 研修内容
    ・1週目 :オリエンテーションと介護現場(介護部入所係)で通常業務に添って研修を行う。
    ・2週目 :予定していた内容に研修生が不満を持つ。話し合いの上、研修内容を変更する。研修生は看護、介護業務だけでなく、医療、リハビリ、栄養管理、相談業務等も勉強に来ていると、各職種からの研修時間増を希望する。
    ・3週目 :利用者とコミュニケーションを行う為に必要な日本語を教え、多くの利用者と接してもらう。
    ・4週目 :看護業務を中心に研修を行い、受持ち利用者を決める。
    ・5週目 :受け持ち利用者に必要なケアを研修生自身で立案する。
    ・6週目 :研修生の立案したケアをスタッフに引継ぎ、プランを施行する。
    ・中間評価 :12月16日。デンマーク専門学校長2名が来日し、評価項目に従って研修生と話し合いながら評価する。
    ・7週目 :リハビリ、作業療法、施設行事などに参加する。
    ・8週目 :〜3週間は冬季休暇
    ・11週目 :入所にて最終の研修を実施し、最終評価を行う。
    ・12週目 :帰国
    (2) 1期生の受入れを終えての問題点
    ・研修全体の目的や意義と研修生自身の研修目的を理解していなかった。
    ・英会話力が低く、意思疎通を図るのに時間がかかった。
    ・担当職員が公私ともに全てのことを担当し負担が大きかった。他職員との接点がほとんどなかった。
    (3) 2期生を迎えるに当たっての準備
    ・担当職員を介護現場以外の各部署から1名づつ選出する。
    ・研修時間外は極力学生のみで活動する。
    ・英会話教室を実施し、職員のモチベーションを高める。
    ・問題解決のためにデンマークへ視察研修。
  2. デンマーク視察  [課題解決のために、04年6月に介護職員2名、支援相談員1名をデンマーク視察派遣]
    ・日欧文化交流学院にてデンマークの教育、社会保障制度の講義を受ける。
    ・児童、老人施設、病院の見学。
    ・研修受け入れ先の社会保健福祉士養成校2校と、研修目的についてのディスカッションをする。
  3. 第2期研修生来日  [期間:04年8月〜04年10月・人数:女性2名]
    (1) 研修内容
    ・1週目 :講義(入所利用者の1日の過ごし方と入所業務の説明等)
    ・2週目 :講義(当施設周辺の案内)
    ・3週目 :入所での研修。
    ・4週目 :講義(日本人の食習慣)と栄養管理室にて調理実習。
    ・5週目 :精神病院、児童福祉施設、特別養護老人ホーム、老健施設などの見学。
    ・6週目 :併設グループホームで研修。
    ・7週目 :リハビリ室にて研修。
    ・8週目 :入所で2日間研修後、中間評価を行う。
    ・9週目 :〜3週間夏休みとして夏期休暇。休暇中に研修生は国内旅行へ。
    ・12週目 :最終評価、帰国。
【まとめ】
  • 現在までに2組の研修生を受け入れたが、第1期生の研修では、研修生と担当職員がお互いに研修の不満から極度のストレスを感じた。そのため、決して成功とは言えない結果となってしまった。
  • そしてこの失敗を生かすため、デンマーク視察研修を行い、先進国の福祉と異文化と教育システムの違いを学ぶことで研修内容を見なおし、2期生の研修を迎えた。その結果、研修内容にも満足し、お互いにストレスを感じることなくスムーズに行えた。
  • 今後の課題としては、英会話に力を入れ、研修生とのコミュニケーションを充実させること、そして、デンマーク担当職員だけではなく、全スタッフの理解と協力を得られるようにする必要がある。
  • すでに、今年と来年度のデンマーク研修を受け入れ予定が決まっている為、成功したと言えるように準備を進めて行きたい。
 
平成17年 九州大会(宮 崎) ▲TOP
「skal」  〜 国際交流を通して 〜
・介  護  部: 川名 峰幸・竹ノ内 健昭・山口 智子
  福島 仁美・川崎亜紀子
【はじめに】
  • 当施設ではデンマーク王国より研修生を受け入れることより、国際交流を行なっている。
  • 福祉先進国といわれるデンマーク研修生(1期生、2期生)を迎え入れ、私たちが感じたこと、変化があったことをここに報告する。
【目 的】
  • 法人5ヵ年計画でもある国際交流(実習生受け入れ)を通して、デンマークとの文化交流を行なうことで職員の資質の向上を目的とする。
【経 過】
  • 97年10月 介護職員デンマークへにて6ヶ月間の研修
  • 98年12月 福岡県大牟田市での講演会「デンマーク福祉に学ぶ」参加。
  • 99年02月 介護職員6ヶ月間デンマークにて研修。
  • 99年06月 理事長及び常務理事がデンマークへ視察
  • 99年    デンマーク在中日本人が当施設に一時期職員として在籍
  • 99年12月 〜00年05月 デンマークより交流生来日。
  • 00年04月 デンマークより日欧文化交流学院校長とデンマーク人2名、当施設での講演会出席のため来日
  • 01年04月 日欧文化交流学院長とデンマーク人3名が当施設の講演会出席のため来日。
  • 00年06月 職員2名がデンマークにて、視察研修並びに受け入れ打ち合わせを行なう。
  • 01年01月 〜12月 交流生来日
  • 02年02月 〜07月 交流生来日
  • 02年11月 研修生派遣準備のためデンマークより学校長2名来日
  • 02年11月 〜03年01月 交流生来日
  • 03年04月 〜06月    交流生来日
  • 03年11月 〜04年01月 研修生として2名が来日
  • 04年12月 中間評価のため当施設にデンマーク専門学校長2名来日
  • 04年01月 23日 最終評価・帰国
  • 04年06月 21日 介護職員2名、支援相談員1名デンマークへ視察
  • 04年08月 〜3ヶ月間 2回目研修生来日
  • 04年09月 22日 中間評価実施
  • 04年10月 26日 最終評価・帰国
    ※交流生とは学校から実習としてではなく自主的な勉強として来設している学生他
    ※研修生は、社会保険介護士の資格取得の実習(単位取得)として来説している学生
【今後の課題】
  • 第1期生の研修生を迎え入れたが、研修開始直後から研修生、担当職員は極度のストレスを感じ、やむなく研修を一時中断することとなった。その原因とし、言葉の壁、研修内容、同スケジュール、研修生の目的を理解していなかったということである。
  • 今後の課題として、まず担当職員が語学力だけではなくデンマークの教育や文化を知り、研修内容、同スケジュール、研修生の目的を理解すること。その上で、研修生を受け入れることが、大事である。
 
平成16年 全国大会(香 川) ▲TOP
転倒調査後の取り組みの報告 Vol.3
・介護部:鬼束 幸生
【はじめに】
  • 我われは、過去4年間における転倒状況(時間・場所・状況・利用者レベル・回数など)を調査し、昨年の全国老健大会にて発表の場を得た。その調査において当施設が直面している問題として挙がったことは、
    1.報告書などによる事故報告がなく、転倒状況やケアを省みるときの材料が少なかったこと
    2.利用者個人の転倒に対するケアや情報の統一が徹底不足であったこと
    3.利用者の日課に応じたスタッフの人員配置が適切でなく、事故が多い時間帯(特に入浴・おやつの時間)の対応が改善できていなかったこと
    などである。
  • 今回は、先の調査データを基にして試みた取り組み内容と、それを分析・考察した結果を報告する。
【取り組み内容】
1)
ひやり・はっと・事故報告書」の作成、記入提出。(H15.6.1 から開始)
2) 人員配置の検討・改善、それに伴うおやつの2グループ化。
   
【結果】
1)
について
 
  1. 報告書を作成・記入提出することで、今まで以上に転倒事故などの状況把握が確実に行なえるようになった。
  2. スタッフに報告書の提出を徹底することで、今まで以上に事故防止への認識が高まった。
  3. 認識だけでなく自分たちのケアを省みる材料が出来たことで、事故防止につながるアイデアが出るようになり、個人の転倒に対するケアや情報の統一が図れるようになった。
  4. 事故が未然に防げるケアの提供ができるようになった。
2) について
 
  1. 人員配置を検討し、入浴にもおやつにも余裕のある業務体制に改善したことにより、入浴・おやつ前後の時間の事故防止につながった。
  2. 人員配置を変更し、利用者を2グループ化することでスタッフの目が行き届きやすくなり、それが事故防止につながった。
【考察】
  • 「ひやり・はっと・事故報告書」を記入提出することで、対応した転倒事故等については確実に残すことができ、対応することのなかったスタッフでも個人の情報や状態を把握しやすくなった。その報告書を基に、スタッフ全員で個人に対するケアの検討が行なえ、適切な個別ケアの提供が充実することになり、重大事故の防止につながったと考える。
  • また、今までは入浴・おやつの時間での転倒事故が多く見受けられたが、スタッフの人員配置の検討・改善をし、また利用者を2グループに分けて対応できたことでその時間の転倒事故が半減した。このことについても人員配置・利用者の2グループ化だけでなく、先ほど述べたように報告書の存在が大きいと言えるだろう。
【おわりに】
  • 今回、過去1年間における取り組みの結果報告を行なったが、まだまだ転倒事故の著しい減少にはつながってはいない。し転倒事故は利用者に対する心身的な影響はもちろんのこと、その家族においても多大な影響を及ぼすことは間違いない。
  • これからも私たちスタッフはそのことを念頭に置きなが『抑制に頼らない"事故を未然に防ぐケア=xの提供を行ない、利用者が安定した施設生活を送ることができるようにその手助けとなれば幸いである。
 
平成16年 宮崎県大会 ▲TOP
"老健って知ってますか?"
〜ご家族・第三者から見た老健像〜
  黒木勝久 M砂泰典
  角田砂江 吉田悦男
【はじめに】
  • 私たちサンヒルきよたけ支援相談員は、利用者のご家族が老健をどの程度理解されているのか、また私たちが十分にニーズを収集できているのか疑問に感じている。
  • そこで、それらを把握し、今後の面接に生かす為に下記の調査を行ったので報告する。
【調査の項目】
1) 老健の機能の把握度について
2) 老健のサービス内容の把握度について
3) ニーズを収集できているか
4) ご家族が言いたいことを言えているか
【方 法】
1)座談会の実施
  1. 当施設利用者のご家族3名と支援相談員3名で1時間程度の意見交換(施設の昼食を食べながら)
  2. 39歳以下で介護保険に関する説明会等に参加していない方との意見交換会
2)アンケート調査の実施
  1. ヘルパー養成講座受講者へ老健の感想・イメージについて質問
  2. 施設職員に自分の言葉で老健の説明を行ってもらう
【意見内容】
1)座談会での内容
 1. 利用者家族から
  • 短期入所のようなレスパイトケア目的で使えるサービスの量や種類を増やしてほしい。
  • 病院に比べると臥床時間は短いが、自宅に比べると長いように思う。
  • 家族はもっと施設に足を運ぶべきで、施設は状態の変化をもっと家族へ伝えるべきだ。
  • 家では家族に甘えて行わないことも、施設では自分で行おうとする。施設に居た方がレベル維持になる。
  • 入院はかわいそうだが、自宅での介護は無理。結局入所希望になってしまう。
 2. 第三者から(39歳以下の方)
  • 個室はさみしい。4人部屋で、仲の良い人と話ができる環境がほしい。
  • 老健の職員は"介護予防"の活動はしないのか
  • 介護保険を利用する場合、どこに問い合わせをしてよいのかわからない。
  • 介護保険料をいくら払っているのかわからない。
  • 現在の施設に入所させるのは、祖父母は勧めるが、親なら考える。
  • 老健って老人ホームとどう違うの?
     などの意見が聞かれた。
2)アンケート内容
 1. ヘルパー養成受講者より
  • 特養との違いがわからない。
  • 各専門職が充実している。
  • 利用者がそれぞれ自由に活動できる。
 2. 職員より
  • 在宅復帰を目指す施設。
  • 病院と家庭との中間施設。
  • リハビリ施設。
  • 自立を支援する施設。
【考 察】
  • 介護保険を利用したことのあるご家族でも、実際のサービス内容を理解できていないことを感じることができた。一度施設を利用して後は、簡単な疑問点が聞きづらい。
  • また、いろいろな要望があっても、一家族対施設職員での面接では、充分に言いたいことが言えず、何か言ったら施設を出されるかも?という気持ちをいつも持っていることを強く感じた。
  • もっと施設のこと、介護保険のことを知りたいと思っている方が多く、支援相談員としてできることがあることを感じた。
【おわりに】
  • 初めて施設を利用する家族にとっては利用したい気持ちが強く、なかなか施設についての説明まで把握出来ていないのが現状であろう。
  • 私たちは「説明したのでわかっているはず・・・」でなく、施設の内容を理解していただき、ご家族と協力して利用者をケアしていく!という気持ちを持っていただけるように、説明内容や利用者ご本人とご家族の気持ちを察し、これからの業務に励んでいきたいと思う。
  • そして、座談会は、継続して実施し、ご家族の生の声を聞いていきたいと思う。
 
平成15年 全国大会(北海道) ▲TOP
転倒調査の報告 Vol.2
・介  護  部: 富山 圭子・松田 正俊・押川 幸美・鬼束 幸生
  竹ノ内 健昭・永山 加奈子
【はじめに】
  • 我われは、過去4年間における転倒状況(時間・場所・状況・利用者レベル・回数など)を調査し、先の九州老健大会にて発表の場を得た。その調査でわかったことは、(1)転倒事故は、すべり落ち・転落を含め、毎年100件以上起こっている (2)介護保険導入前より、導入後に発生件数が増加している (3)H14年からは療養室担当制の充実を図ったことで発生件数が減少している (4)転倒場所は療養室が過半数を超える (5)転倒時間は、食事・おやつなど移動が施設全体になる場合の発生が多い (6)最も転倒が多かったレベル(日常生活自立度)は、障害老人B1・痴呆性老人IIIaである、ということであった。
  • 今回、先の調査データを基に、転倒により重篤な外傷をきたし、入院に至った利用者について、転倒状況や利用者レベル等を全転倒者と比較・検討し、分析・考察した結果を報告する。なお、転倒事例の中には車椅子やベッドからのすべり落ち・転落も含む。
【調査概要】
(1)
調査対象時期:H11年4月1日 〜 H15年3月31日(年度別に調査)
(2) 調査対象利用者:転倒により入院となった利用者23名(以下A群とする)・入院以外の全転倒者211名(以下B群とする)
(3) 調査内容:A群とB群の転倒状況・利用者レベル等の平均を比較
(4) 調査方法:@施設日誌に記載してある転倒の状況を抜粋
       Aカルテから状況を収集
       B内容別に統計を取り考察する
   
【結果】
(1)
A群は、障害老人A2・痴呆性老人IIIbが多く見られた。
(2) B群は、障害老人B1・痴呆性老人IIIaが多く見られた。
(3) 転倒場所は、A・B群共に、主に利用者が過ごす時間が多い療養室、ベッド周りなどが約80%を占めた。
(4) 時間帯では、A群が約78%の割合で早朝・深夜帯での転倒が多く見られたのに対し、B群は毎食前後・おやつ前後・入浴前後など、離床時や離床後に再度療養室に戻ってきた場合や療養室での活動中に多く見られた。
(5) 入院の原因としては、殆どが骨折となっており、大腿骨頚部骨折が一番多かった。
   
【考察】
  • 転倒利用者の特徴として挙げられることは、前回の結果にも表われたように障害老人B1、痴呆度はIIIa前後に集中しているが、今回の調査では転倒により入院に至る利用者のレベルは障害老人A2、痴呆度はIIIbという結果を得ることができた。このことは、歩行レベルの利用者のほうが車椅子レベルの利用者よりも転倒時の衝撃が大きいことが、重篤な状態になっているひとつの要因と考えられる。スタッフも重度の身体障害者に対してより意識が向いており、軽度の身体障害者に対しては注意・認識はしているものの、見逃しやすいということも考えられる。
  • また、痴呆高齢者は早朝・深夜帯など行動パターンが統一されてないため、スタッフの目が行き届かないことが考えられる。
【おわりに】
  • 前回の九州老健大会の調査では、いろいろなデータを得て転倒調査として発表したが、今回はそのデータを基に転倒事故により入院となった利用者の分析・報告を行なった。
  • これまで様々な対策に取り組んできたにも関わらず、転倒事故は無くならない。殆どのケースは入院には至っていないが、重篤な外傷をきたす恐れも充分にあり、利用者の今後の方向性をも決めかねない。実際、入院後に再入所された利用者の心身的なレベルは確実に落ちている。いま現在においても重篤な状態までは陥らないものの、幾度となく転倒を繰り返す利用者がおられるという現状もある。
  • その中にも抑制を外したことが転倒のひとつの要因と考えられる利用者もいた。抑制以外の代替性が求められている今現在、当施設では個別ケアへの取り組みを行ない、スタッフ間の連携、ケア・意識の統一化などを図り、少しずつではあるが改善傾向へ向かっている状況である。
  • 後もこのデータを基により分析し、転倒と抑制の関連性も含めながら、利用者の安全な施設生活を支えていきたい。
 
平成15年 九州大会(沖 縄) ▲TOP
転倒調査の報告 vol.1
〜バックグランドについて〜
・介  護  職: 押川幸美
  星崎洋子・河野恵未・鬼束幸生
  松田正俊・富山圭子・角田砂江
【はじめに】
  • 転倒は、利用者本人の苦痛はもとより、今後の生活の方向性を左右するものとなる。身体拘束・リスクマネージメントを考える上でも、過去の状況を把握し、これまでの状況の考察と今後の課題について知見したので、これを報告する。
【調査の概要】
  1. 調査目的
    過去の転倒状況を把握し、業務内容とあわせ、今後のケアを見直すことを目的とする。
  2. 調査対象時期
    平成11年度から平成14年度まで
  3. 調査項目
    1)場所
    2)時間帯
    3)転倒時の状態
    4)転倒後の対応
    5)利用者のレベル
  4. 調査方法
    1)施設日誌に記載してある転倒の状況を抜粋。
    2)カルテから状況を収集。
    3)内容別に統計を取り考察する。
【結 果】
 1)転倒件数は、平成13年度が最も多い。
 2)朝食前・おやつ後・夕食後の時間帯の転倒件数が多い。
 3)療養室での転倒が最も多い。
 4)早出・遅出勤務者を増員後、転倒件数が減少した。
 5)同一利用者の転倒数が頻回である。
 6)転倒を頻回にする利用者は、外傷が殆どない。単発で転倒をした利用者が入院に至っている。
 7)抑制帯・四点柵をはずしたことによる転倒・すベり落ちが見られる。
【考 察】
  • 平成12年より自立支援に向けてのケアプランを立案したが、プランの浸透が充分に行えておらず、平成12年から平成13年は転倒件数が増加した。平成14年は、療養室担当制の充実をはかったことにより、個別のプランを職員へ浸透でき、件数が減少したと思われる。早朝、夕食後は、時間帯別の職員人数の変更により転倒件数を減少することができた。しかし、おやつ前後の移動時間が入浴時間と重なっており転倒件数が依然多い。
  • また、転倒防止の為、現業務体制では、抑制帯・四点柵をはずすことができない時間帯及び利用者もいる。
【今後の課題】
  • 転倒を防止し、身体拘束を少なくする為に、次のことを今後の課題として実施していきたい。
     1)ケアプランの充実
     2)ベッドまわりの環境整備及びレベルにあった療養室の選択
     3)短期入所者の情報収集及び対応策の模索
     4)利用者に合った補助具の選択
     5)動線の確保及び環境整備
     6)利用者の観察力・判断力を養う
【おわりに】
  • 今回、調査を行い、個別の状態を考察してみると、身体拘束を行っている現状を改めて再認識した。
  • 当施設では、抑制帯をはずすことができない利用者が1人いる。家族にとっては、第1に、転倒せず、入院せずに、施設で安全に生活することを望まれている。私たち職員は、身体拘束廃止に対応する為に、監視の徹底等は行っているが、安全かつ本人の自由意思のもとに抑制をはずし、ご家族に安心していただく対応方法が、現業務体制では探し出すことができない。
  • 利用者にとっては、自由な活動ができる為の環境を整える上で、抑制帯・四点柵のみにとらわれず、本人の趣味等のニーズを含め、生活全般の抑制をしないための利用者への処遇を行っていくべく、再度、身体拘束とは何かを考えていきたい。
 
平成14年 全国大会(福 岡) ▲TOP
当施設におけるケアプラン委員会の2年間の取り組み
〜充実した個別ケアを実施する為の試み〜
介護部:中島 烈・森本義文・永山加奈子・二見美由紀
【はじめに】
  • 日々の業務を行っていく上で、私たち職員は、利用者にとって本当に意味のあるケアプランを実施しようという気持ちをますます感じている。この度、ケアプラン委員会の活動を振り返ってみて、充実したケアプラン作成及びケアを今後どうすればいいのか考えてみた。
【目 的】
  • 下記の点を主眼とし、ケアプラン委員会を中心として、ケアプランに関する事項の改善を行っていく。
     1.全職員が個々のケアプランを把握する。
     2.作成からカンファレンスまでの流れを確立する。
     3.本人・家族のニーズを取り入れる。
     4.家族から見られて、わかりやすい書類を作成する。
     5.ミニカンファレンスを通じて、職員の個人差、能力差をなくしプランを充実させる。
【経 過】
・平成12年4月 
・カンファレンス内容の変更開始・書式の変更
・ミニカンファレンスグループ作成
※ミニカンファレンスとは、カンファレンスの前にケアに携わる職員(看護職・介護職)が、グループ別にケアプランについての内容の検討会議。状況に応じ、介護支援専門員等の参加を求める。
・平成12年5月 ・ミニカンファレンス開始
・平成13年1月 ・入所ステーション内に、パソコンを導入
・プランの発生する業務別に12冊のファイルを用意する。
・平成13年4月 ・新人及び中途採用者へのケアプラン作成指導
※介護支援専門員が中心となり指導する。
・平成13年8月 ・色違いファイルの見直し
※内容の重複とコピー枚数が多い為、ファイルを12冊から4冊へ削減。
・平成14年4月 ・ミニカンファレンスの時間帯変更
※時間外に行っていたミニカンファレンスを日勤業務時間内で設定。
・短期入所者ケアプラン作成開始
   
【結 果】
  • 上記の経過をたどり、下記の結果を得ることが出来た。
     1.ケアプラン作成負担軽減が図れた。
     2.作成からカンファレンスまでの流れを確立する事が出来た。
     3.書類全般が見やすくなった。
     4.ミニカンファレンスを導入して職員の個人差、能力差がなくなり、プランの充実が図れた。
    以上の事から以前よりも確実なケアプラン作成及び実施が可能となった。
【今後の課題】
  • ケアプラン作成からカンファレンス流れは改善されたが、全職員個々のケアプランを把握するまでに至らず完全には実施出来ていない現状がある。又ケアプランだけでなく業務改善を図ることでおのずと本人・家族からの希望を受け入れたケアにつながっていけるのではないかと考える。
【おわりに】
  • 今後この機会で得たものを糧に課題を1つ1つ克服していけば、利用者・家族にとってはもちろんだが、職員にとってもやる気がおき、満足感の得られる良いプランの実施が出来る。すなわちよりよい施設が実現できると思う。
  • 今後もケアプランは、利用者に関わっていく私達には避けては通れない、又上手く活用していかなければならないものである。ケアプランを通して利用者とふれあう術をこれからも考えていきたい。
 
平成14年 宮崎県大会 ▲TOP
〜全利用者の選択による一斉多種目クラブ活動の実施〜
レクリエーション委員会: 上村美和
  道本・冨山・松田・小久保・享保・保島
【はじめに】
  • 介護老人保健施設におけるクラブ活動はQOLの向上・個別処遇という観点からも重要な一因であり、実施する必要性は高い。
  • しかし、マンパワー不足、対応するスタッフの質、業務との兼ね合い、マンネリ化や継続性、その評価といった面などで、内容の充実が困難であることは否定できない。
  • 当施設でも、開設以来様々な働きかけを行ってきたが、先のような問題があり充実しているとは言える状態ではなかった。
  • 今回、同一日・同時間に全利用者を対象として、多種目のものを一斉に実施することで若干の知見を得たのでここに報告する。
【目 的】
  • 利用者、職員へのクラブ活動に対する意識の定着
  • 利用者の主体的な決定による参加
  • 利用者に対する多面的な評価の実施
【経 過】
1.アンケートの実施
  • 始めに全職員に対し、レクリエーション委員会で厳選した12種目のうち希望する種目に加え趣味・特技について行った。
  • そのアンケートを基に、通所も含めた全利用者に対して16種目の中から選択していただいた。これは、第3希望まで確認した。
2.種目の決定
  • 利用者のアンケートの結果から、最終的に11種目(表T)が決定した。職員は、利用者が3〜5名に対し1人配置できるように調整・変更した。また、利用者が希望したものでも1名しか希望が無いものと第1希望者のいない種目については削除した。なお意思確認が困難な利用者に対しては、家族からの情報・日常生活で観察される行動から推測しスタッフが種目を決定した。
3.記録
  • クラブ毎及び個別評価表を作成した。
  • クラブの記録は日時・場所・参加者名・活動内容を、評価表は利用者個々の理解・参加・対人関係・表情変化についての項目をチェック方式で記録するものとした。
    表T 初回の種目
    ペーパーフラワー 木工 料理 ゴルフ
    和紙作り 手芸 園芸 ビデオ
    ボール遊び
    音楽 塗絵  
【方 法】
  • 頻度:月1回 1時間
  • 場所:施設内ホール、デイルーム、食堂、居室前の広間、談話室、工房など
  • 事前にクラブとその利用者名、担当者名を記載した用紙を配布し、担当者とレクリエーション委員が相談の上、進行上の計画をたて準備を行う。当日は約30分前に全館放送しクラブ担当者が利用者を会場まで誘導し活動開始。
【経 過】
  • 平成13年8月より毎月、本年1月までの経過(計6回)を紹介する。
  • 初めのうちは誘導面、クラブの進行手順等戸惑いが見られていたが、回を重ねるごとに落ち着きをみせた。
  • 実施する曜日を定めている事で、その曜日を認識し会場まで出て来られる方や他のクラブへ興味を示される方もあった。
  • 一部のクラブに関しては、その活動が利用者同士の交流となり日常生活の場面で活動している姿もみられるようになった。
  • 職員に関しては、担当するクラブを固定した事からクラブに対する役割意識を持ち自主的に企画・準備を進めるようになった。
  • 和紙作りについては、選択していた利用者の退所に加え、作業工程の複雑さからクラブとしては成立しなくなり現在10種目にて行っている。
【考 察】
  • クラブ活動とは気の合う仲間、同じ趣味を持つものが自主的に集まり、そこで何かしてみようかといって始まるものではないだろうか。今回の試みはそれにはほど遠いものかもしれない。
  • しかし、今回の試みを足がかりとして今後は、利用者の訴えからすぐに対応できる体制作りや種目・頻度の増加などでより内容を充実させていき、利用者の主体性があり活気のあるクラブ活動としていきたい。